富嶽三十六景 神奈川沖浪裏  葛飾北斎
富嶽三十六景 神奈川沖浪裏  葛飾北斎
 
商品詳細
『富嶽三十六景 神奈川沖浪裏』  葛飾北斎
"The Great Wave off Kanagawa/Thirty-six Views of Fuji"  Hokusai Katsushika
富嶽三十六景の中の代表作、いや、北斎の生涯の作品中の代表作とも言えるこの図は、当然のことながら世界中の多くの人びとが知っている。
この『神奈川沖浪裏』は今でも強烈なインパクトを我々に与えるが、当時の初出版においては更に大きな反響を呼んだに違いない。
版元永寿堂西村屋与八の優れた企画力と北斎の円熟した表現力とが相乗して見事な富嶽三十六景シリーズは、この一枚と双璧を為すもう一枚の『凱風快晴(赤富士)』とによって以後の成功を約束されたと言ってよい。
富嶽三十六景の出版順序について様々な意見がある中で、この図がシリーズ最初の出版とする見方が固まりつつある。
この図の見どころは、見上げるばかりの大波であることに誰も異論はない。
右端のうねりが舟と共に左に向かって下降しながら底を打って反転し、今度は大波として迫り上がって、その波頭が迫り上がりの限界点を迎えて今まさに砕けんとする瞬間。
その瞬間を切り撮った静止画でありながら、この動的な一連の繋がりは決して静止していない。 この図の迫力を生み出している根源と言えるであろう。
更に、迫り上がる大波の背に盛り上がった海面を僅かに描き加えて海面の落差を表現し、大波の量感と迫力を補強している。
この図の大波の余りにもの迫力ゆえに、これは津波を描いたものだという見方すらあるが、これを少し考えてみたい。
まず津波説。 
富嶽シリーズには人びとの暮らしの日常を物語り仕立てにして描いている図が多いが、その仕立て(勿論、構図の組立てをも含む)の為に、非日常的な大津波を外連味(けれんみ)たっぷりに描くような愚は北斎なら犯さないであろう。
この大波はこの辺りで時々見られるものとして北斎は描いているに違いない。
さてそれでは、「この辺り」はどこか。 舟そのもの、舟の走っている場所とその向かう先、北斎がこの図に込めた作画意図などの点からもう少し深掘りをしてみたい。
富士が右手に見えるということは、江戸に鮮魚などを搬送したあと、神奈川宿沖合の浦賀水道を南下して母港に帰る船団を描いたか、あるいは平塚辺りから江戸に鮮魚などを届けるために相模湾を南下して浦賀水道に向かう船団を描いたか。
この舟は押送船(おしおくりぶね、が訛って、おしょくりぶね、とも)と言って、周辺で取れた鮮魚を江戸に搬送する高速船である。
軍事的理由から八丁魯は禁止され七丁魯が基本だが、図の漕ぎ手は8人である。あるいは江戸後期には八丁魯が許されていたのか。 この舟は図のように3艘の船団を組んで、帆と櫓の併用で走る。
ところで、このような大波は浦賀水道ではあり得ないが、相模湾の沖合には水深1000m級の相模トラフという海底盆地が横たわり、複雑な海底地形が荒波を形成しやすく、また大津波に度々襲われた記録もある。 歌川広重の『本朝名所 相州七里ヶ浜』や『諸国名所百景 相州七里が浜』にも荒れる高波が描かれている。
さて、この図の衝撃的な構図に眼を奪われて、ともすれば私たちは作者北斎がこの図で表現しようとしたものが何であるのか、見過ごしてしまいがちである。
私はこの図を、相模湾の大波に立ち向いながら江戸に鮮魚を届ける押送船の男たちの使命感溢れる姿を描いたものだと考える。 ここにもまた北斎がシリーズで好んで描いている人びとの暮らしの姿がある。 
江戸からの返り船なら何もこんな危険を冒すことはない。風波が治まるのを待てばよいし、仕事を済ました返り船が大波に立ち向うと言う図はドラマにならない。
「神奈川沖」という画題は狭義に解釈したくはない。
Many people around the world are familiar with this work, which can be said to be one of the masterpieces of Thirty-six Views of Mt. Fuji, or rather, one of the masterpieces of Hokusai's life.
This painting, "Kanagawa Okinamiura," still has a strong impact on us today, but it must have caused a great sensation when it was first published. 
 
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富嶽三十六景 神奈川沖浪裏  葛飾北斎
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