冨嶽三十六景 本所立川  葛飾北斎
冨嶽三十六景 本所立川   葛飾北斎
 
商品詳細
『冨嶽三十六景 本所立川』 葛飾北斎
"Thirty-six Views of Mount Fuji/Timberyard at Honjo" Hokusai Katsushika
本所は北斎が生まれ育った土地、いわばホームグランドである。
飯島虚心著『葛飾北斎伝』によると、本所割下水で生まれたとある。
割下水という妙な地名は、本所深川一帯が低湿地帯であったので、排水のために下水路を掘割りしたところからきている。
本所には忠臣蔵の討ち入りで知られる吉良上野介の屋敷があった。
そして北斎の母は、その時に吉良屋敷で討ち死にした吉良家家老小林平八郎の孫娘ということになっている。
それが事実であったとすれば、想像してみるに、母は幼い北斎(幼名は時太郎)に向かって、祖父の忠節ぶりを語り聞かせたであろうし、
同時にまた、吉良家が断絶となったために祖父の命を捨てた忠義が報われることもなく、小林家が苦難の道を歩んだことを嘆いたであろう。
それが幼い北斎にどのような影響を与えたであろうか。
北斎の身分は明らかではないが、父親の川村仏清は武士ではなかったか。
北斎が熱心な日蓮宗の信者であることや、「仏清」などという武士にあるまじき名乗りからして、父親は武士の身分を捨てて出家していたのではないだろうか。
ゆえに川村家は貧しく、北斎は幼少のころから貸本屋で働いたり、版画の彫師の修行をしたりしている。
後年、北斎が母親の話ばかりして、父親の話をしなかったようだが、以上のような事情があったとすれば頷ける。
あるいはまた、北斎が絵師の道に入るきっかけは、幼少時の父のいない孤独であったかもしれない。
さて、「富嶽百景」第二編の「写真の富士」では、北斎と思しき人物が弟子を連れてスケッチをしている風景が描かれている。
その人物の傍には脇差が置かれている。北斎は武士の出自であることをさりげなく書き込んだのではないか。
この図に触れたついでに言えば、北斎は酒もたばこもやらなかったことになっているが、この図には弟子が焚火にかけた鍋で酒の燗をつけている。
煙草についても自画像の「漁師図」では煙管を口に咥え、腰には煙草入れを下げている。
両方とも嗜んでいたが、69歳の頃に脳卒中をやってからやめた、と考えるのが順当ではないか。
北斎が健康にはかなり気を使っていたことは、「北斎伝」に卒中の自家製薬として、柚子を土鍋で煮詰めて用いていたことが記されていることからもわかる。
少し話が逸れてしまったが、幼少のころからの経験が、北斎を武家嫌いにしたのではないかと私は思っている。
富嶽三十六景シリーズの「東都浅草本願寺」や「江都駿河町三井店略図」などで建物をあれほど見事に描き上げているのに、「江戸日本橋」の江戸城や「信州諏訪湖」の高島城、諸国名橋奇覧シリーズの「すおうの国きんたいはし」の岩国城の描き方は何だ。
「北斎さん、そりゃないよ」といいたいほど手抜きに見える。
北斎の反骨が武士の象徴たる城をわざと下手くそに描かしめたように思えるのである。
少しはこの図の立川の話もしよう。
本来、竪川(たてかわ)が正しい表記であるが「立川」になってしまっている。
この川は「深川万年橋」の架かる小名木川に平行して北側を東西に流れ、同じように隅田川と荒川水系の中川を結ぶ運河である。
さらには平行に流れるこの2つの運河を結んで菊川、横十間川などがあり、運河が碁盤の目の如く縦横に張り巡らされているが、本格的に開削されたのは明暦の大火(明暦3年、1657年)以降である。
江戸初期に開削された運河小名木川(『深川万年橋下』参考)に加えて、平行に竪川が海運と湿地帯の排水を目的に着工された(万治2年、1659年)。
縦横に整備された運河は海運を盛んにし、この地に木材業の発展をもたらした。
おそらく明暦の大火のあとに流入した被災者たちがまず必要としたのは住居であり、そのための木材の調達が契機となって木材業が定着したのではなかろうか。
「火事と喧嘩は江戸の華」と言われたほど江戸は度々の大火に見舞われる。 そのため終には幕府が広大な猿江材木蔵(現在の恩寵公園)を整備して火事に備えるようになった。
関ヶ原の戦い翌年の慶長6年(1601年)から、大政奉還の行なわれた慶応3年(1867年)に至る267年間に、江戸では49回もの大火が発生した。
この図にも西村屋与八の商魂の逞しさがみられる。材木に西村屋の広告文字をちゃっかり書き込んでいるのである。
 
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